U-33 project2015秋冬号

小谷陽子

主宰の結城ケン三と声優の中西みなみによって突如発足した演劇ユニット。
数々の演劇制作を経て、「色々観てきたけど俺の方が面白いし」と言う結城の言葉の元、誕生。
ユニットテーマは「マジくだらない。」
日常、非日常にある不条理に様々な視点でしつこく絡みつく。
「もうめんどくさいからその話いいよ。」と言われても止めない。
「もう何言ってるか分からないからその話いいよ。」と言われても続ける。
「もう静かにしといて。」と言われてやっと黙る。でもすぐに話し出す。
そんなしつこい絡みつきをモットーに日々邁進中。
【構成員】
主宰、作、演出
結城ケン三
所属俳優
中西みなみ

 

U-33 projectは、2015年12月に旗揚げする、生まれたてのホヤホヤのユニットだ。
主宰で作・演出の結城ケン三は、ENBUゼミの江本純子(毛皮族)クラスの出身。もともと脚本家志望だったが、何故かその後バンド活動を経て、演劇には制作スタッフとして関わることになった。2年ほどスタッフ活動に専念していたが、役者である中西みなみとの出会いをきっかけに、自らのユニットの立ち上げを決意した。それが今年の夏である。
中西「何度も聞いたんですよ。本当に今年やるの?って」
結城「今年じゃなきゃだめだって言ってやり始めた。それで、大量のプロットを(中西に)送ったんですよ。」
中西「たくさんありすぎて、何が何だか分からなくなった(笑)でもやりたいことはたくさんあるんだなって。」
表現したいことは相当たまっていたようだ。
結城「でも、芝居は一人ではできない。それで、半ば諦めかけていたんですけど、いい人に出会い、手伝ってくれるということで。あの時の脳みその回転のしようと言ったら…」
中西「浮かれちゃったんですね(笑)」

ユニット名はあるバンドの曲のタイトルだが、「明るいところから暗いところまで振り幅がある」という意味だったのに引っかけて、このユニットでも、そうした作品を上演していきたいという。ちなみに、「33」には構成員の2人の名前「ケン三」と「みなみ」も含まれているそうだが、その他にも、「33歳までに天下を取るぞ!」という決意も込めた。

結城作品のキャッチフレーズは「根暗なコメディ」。
結城「コメディをやりたくて書いてるんですけど、(他人が)読むと暗いみたいなんです。(作品中で)よく人が死ぬんですけど、感動させるような死人の使い方じゃない。死んでも死にっぱなしじゃないし。」
主人公すら死んでしまうそうだ。それも、こんな扱いでいいのか、という感じで。
結城「基本はコメディにしたいけど、完全な(=普通の)コメディではない。」
中西「やりようですね。演出と、あとは役者の技量。」
勿論、作品中には中西に当てて書かれた役もある。

第一弾となる「カレハノ」は、結城としては初の長編作品。最初に出演者で本読みをした時、「演劇っぽくない本ですね」と言われたという。映像的という側面もあるが、ちょっと毛色の変わった作品だと受け止められたのである。
結城は「他人と違ったことをやりたい」という意識が強く、普通のコメディではない、かといってシリアスでもない、そんな肌触りのものを作ろうとしているようだ。
結城「例えば、ここは笑わせどころっていう場所があっても、そういう演技はして欲しくないんですよ。自然な演技で、言い回しだったり、間だったり。友達同士で喋っているときに面白いのと、合コンで面白いのとで分けるとしたら、友達同士の面白さというか。『どや!』っていう感じで笑わせにいくのではない。会話劇みたいにナチュラルにやって欲しい。」
役者にとっては、なかなか高いハードルが設定されている。ベタな笑いではない、全く別の「おかしさ」をそこかしこに散らす、それが結城の目指すコメディの形のようだ。
そして、チラシに書いてあるあらすじは、実はあらすじではないという。
結城「あらすじに書いてある話から一気に関係ないところに話が飛ぶんですよ。でも、そっちの方がメインなので、後半をお楽しみに(笑)」
中西「最初から『おや?』って思うところはあると思う。『そうなる?』みたいな。」
結城「主題は『私達演劇やってます』なんです。」
本人達も説明に苦労していた。観客にとっては、予測不能な展開の連続ということなのか。しかし、あくまでもコメディである。確かに、他にはない不思議な演劇体験ができそうである。
それは、ユニットテーマの「マジくだらない」に通じている。
結城「そういうものって考えなしに見られるけど、難しいことをしようとしている。意味ない台詞を織り交ぜていったり、『そのパターンをここで!?』みたいな。普通に終わらせたくない。」
そして、こうも言う。
結城「いろんな芝居を見てきて、絶対自分の方が面白いと思う。凄い面白い物を見ても、同じくらいのものは書けるな、と常に思っている。」
根拠はないかも知れないが、こういう考え方は創作を行う人間には大事である。「カレハノ」も相当な自信作だと思っていいだろう、多分。

そんな結城の作品世界を構築するのに最適なパートナーとして選ばれたのが、役者の中西みなみ。もともと声優だが、近年は小劇場を中心に多くの舞台に立つ。シリアスからコメディまで幅広い役柄をこなし、どのポジションでも観客に強い印象を残す。そんな中西の舞台を見た結城がコンタクトを取った。
結城「演劇系の知り合いはいるけど、制作の知り合いが多いんですよ。役者で一番仲が良くて、関わることが多くて話が合う。出したプロットでも、『こういう作品が好き』っていうのが合う役者だった。」
中西「私はほぼほぼこの人に任せるつもりですけど。」
結城「でも、たまに言ってくる意見がジャストではまる。自分にはない感覚で面白い。」
中西は「しょうがなく」やっていると言うが、彼女が何気なく発する言葉や発想が、結城の求めているものとぴったり合うということらしい。きっと彼女の感性が、無意識のうちに結城の表現と響き合っているのだろう。実際、「カレハノ」の脚本を読んで、彼女は自分に当てて書かれた役が分かったという。本人は自覚していないが、彼女にとっても案外居心地のいい世界なのかも知れない。

「自分にとっては笑いどころなんですけど、10人いたら1人くらいしか分かってくれないかも知れない。でも、その1人に向けてその笑いを提供したい。それを10パターン作れば、10人が笑える。でも、それは本編としてはいらない(笑)」
つまり、大爆笑と言うよりは、1人1ヶ所はマニアックに笑える部分があるというのがU-33 projectの舞台なのである。
その中で、中西はどんな顔を見せるのか。
興味が尽きない旗揚げ公演である。どのポイントで笑えるのかで、自分の潜在的な笑いのツボが分かるかも知れない。巷に溢れるよくあるコメディに食傷気味なら、U-33 projectの舞台を見てみては如何だろうか。新感覚の「お笑い」の誕生の瞬間に出会えるかも知れない。
ツボにはまると病みつきになりそうな世界の予感がする。
(文中敬称略)

 

U-33project ver.1
『カレハノ』

作/演出  結城ケン三

2015年12月11日(金)〜13日(日)
会場/山王FOREST

【ストーリー】
ある大学教授が殺された。
殺害現場は教授の部屋。
中から鍵が閉めてあり密室。
つまり完全犯罪。

そこに偶然居合わせた教授の関係者達。
事件の謎を解くために呼ばれたIQ180の天才少年K(名前ダサ)
小さな証拠を見つけて事件の謎を解いていく。
かと思いきや彼の推理は事件と全く関係ない事ばかりだった。
犯人は誰か。そして目的は?そして謎の…
完全犯罪型ミステリーコメディ。

【出演】
廣瀬綾(T1project)
中西みなみ(U-33project)
松下芳和(Teamドラフト4位)
竹原成美
渡邊杏奈
北村優実
西岡ゆり子
結城ケン三(U-33project)

【チケット】
前売  ¥2000
当日  ¥2300
※全席自由席です。

チケット予約フォーム

【タイムスケジュール】
11(金)19:00
12(土)14:00  19:00
13(日)13:00  18:00
※上記時間は開演時間です。
※開場・受付開始は上記時間の30分前です。

【会場】
山王FOREST
〒143-0023 東京都大田区山王1-5-24 レコール 山王 104(B1F)
※駐車設備はありません。車・バイクでのご来場はご遠慮下さい。

【お問い合わせ】
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